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 二人は道を歩き続け、煉瓦造りの家屋が立ち並ぶ村の中心部の広場にやって来た。
 ふくよかな中年の女性が広場にある井戸で水汲みを行っていたり、老婆がのんびりベンチに腰を掛けて日向ぼっこをしている。
 ベンチは反対側にももう一つあったので、二人はベンチに座って腰を落ち着かせた。
「なんだか、のびのびとしたところだね。」
 空を仰ぎながらクグレックが言った。晩秋の高い青空にはお日様が上り、ぽかぽか暖かい。ニタは足をぶらぶらさせながら、「そうだね。ドルセードよりは南にあるからかなぁ。」と答えた。ニタは小さいので足が地面に届かない。
 そうやってのんびりしていると、井戸で水汲みをやっていた中年女性が二人の元に近づいて来て、話しかけてきた。
「アンタたち、見慣れないわね。どこから来たの?」
「マルトからだよ。」
 ニタが答えた。
「マルト?聞いたことがないわねぇ。」
「田舎だからね!」
 というニタに女性は「あらやだ、あっはっは。」と豪快に笑う。
「まぁ、このポルカ村も同じくらい田舎で、なかなか人が来ない村だけどね。あ、もしかして、アンタたち、峠越えでもしてきたの?」
 ニタは女性を見つめたまま押し黙った。もし無断で国境越えをしてしまったことがばれたら、どうなるか分からない。
 だが、女性は明るくけらけらと笑う。
「大丈夫よ。この村割と寛容だから。それにこんな女の子とちっちゃい子熊ちゃんが悪いことするように見えないわ。ええ、いわゆる人間じゃない人にも寛容だわよ。子熊ちゃんもこの村にいる間はそのフード、外しちゃっても大丈夫よ。」
 ニタはクグレックの方を見つめてから、ゆっくりとフードを脱ぎ始める。おばちゃんはにっこりと微笑んで、向かいに座っている老婆は「あんれまぁ、白熊の子供だ。可愛いこと。」と大きく独り言ちた。
 クグレックもニタを見て、励ますようににっこりと微笑んだ。少し戸惑い気味だったニタも、密かに表情を緩ませて、フードを完全に脱いだ。
「ポルカは田舎だから寛容だし、そもそもこのリタルダント共和国は穏健派が政権を握ったから、色々と寛容なの。特に誉高き白魔術師の隠れ里があるくらいだからね。魔法使いにも寛容よ。」
「なかなか良い国だね。」
「ふふふ。でもねぇ、生まれ変わったばかりの国だから、悪い輩がまだ若干蔓延っているのよね。そういう輩に限って、人外を捕まえて売り飛ばそうとするんだから、最低よね。」
「うん。最低だ。」
 ニタが拳を握りしめながら同調した。その時、女性の目がきらりと輝いた。
「ところで、お二人は泊まるところあるのかい?」
 という女性の問いに
「ない。」
 と、きっぱりとニタが答える。女性はやっぱりねと言うように満面の笑みを浮かべた。
「なら良かったわ。うちはポルカ唯一の宿屋と食堂をやってるから、今晩はうちに泊まりなさいな。ご飯はサービスしてあげるから。」
「え、良いの?」
 青い目を輝かせながらニタが尋ねる。女性は満面の笑みで頷く。「部屋代は頂くけどね。」と付け加えながら。
「うちの店はそこの通りを進んで左手側にあるんだけど、案内するからついて来て頂戴。」
 中年女性に案内をしてもらいながら、二人はポルカ村唯一の宿屋へと向かった。


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