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 ただ無造作に酒を飲む青年団の中の20代後半程の男性がパンパンと手を叩く。黒くてちりちりとした短い巻き毛の体格のいい男性だ。
 男たちは、騒ぐのをやめて、巻き毛の男に注目した。
「我々は明後日より、ポルカ高原のみ生息が確認される希少種ニルヴァを狙わんとする山賊を討伐に向かう。ニルヴァは我々ポルカの民にとっての友であり、象徴でもある。尊き存在を踏みにじる外からの輩に、我々は立ち向かわねばならぬ!リタルダンドの英雄フーコの如く悪には立ち向かわなければならぬ!」
 巻き毛の男が、重々しく言い切ると、周りの男たちは「うおー」と酒の入ったジョッキを突き上げ声を上げる。
「ただ、我々には山賊と争うには経験が少なすぎる。そこで、我々はハンターランキング上位のマシアス氏の手を借り、山賊に立ち向かう。マシアス氏、どうぞお言葉を。」
 そう言って、巻き毛の男が手を差し伸べた先のマシアスと呼ばれた男は、嫌そうに手を振った。マシアスは頭にターバンのような布を巻き、スカーフ、マント、ローブといった長さのある布製品を重ねて着た男性が座っていた。伝統的な砂漠の民の衣装だ。
 巻き毛の男は腰を低くして
「いやいや、マシアス氏、皆、貴方の言葉を欲しがっているんです。ここは是非。」
 と、食い下がることなく笑顔で言った。
「いや、いい。俺はお前たちのことを助けるだけだ。山賊を倒し、お前たちが大切と思う希少種を守りきるだけなのだから、それ以上はいいだろう。」
 そう言って、マシアスは杯を仰ぐ。だが、巻き毛の男を初めとした青年団は言葉を貰えたことが嬉しかったのだろう。再び「うおー」と大きな声を上げて、嬉しそうに傍の同志と自らの杯をぶつけ、飲み干し合う。男達から「おかみさん、酒おかわり」の声が立て続けに上がった。
 それからはまた、豪快で騒々しい宴会が再開された。
 しばらくして、おかみさんがニタとクグレックの席に食事を持って来た。美味しそうなデミグラスソースの煮込みハンバーグとコーンクリームスープと焼きたてのパンだった。
 数日間は野宿で粗末な食事だったので、二人は暖かみのある食事が嬉しかった。
「おいしいね。」
 と、ククが言った。
「うん。とっても美味しい。」
 コーンクリームスープを啜りながらニタが言った。
「あの人たちは、ニルヴァっていう生き物を山賊から守るんだね。ニルヴァって、マルトで言えばメイトー様みたいなものなのかな。」
 クグレックからの問いに対して、ニタはその味を堪能するかのように目を閉じてコーンスープを啜った。
「多分ね。そんな存在を狙うなんて、山賊、許せない。」
「本当に。ところでニタ、ハンターって何?」
「うーん、何でも屋、かな。依頼者の望むものを狩猟、採集して入手する人たちのことを言うんだけど、最近じゃ傭兵もやるし、なんでもやる。秘密裏で人殺しだってやっちゃうらしいよ。お金さえあれば。ドルセード王国では確かハンター制度を禁止している国だったけど、他では割と普通に居るかな。特にリタルダンドみたいな不安定な国だとハンターは多いかな。色んな人が特別な手を借りたがってるから。」
「へぇ。」
「ハンターランキングなんてのもあるけど、結構偽造する人も多いから、雇う側はしっかり見極めないといけないよ。あのマシアスってやつが本物かどうかは怪しいもんだ。」
「そうなんだ。」
 ニタとクグレックは青年団を横目に和やかに食事を進めた。


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