それははじまりの旅でのとある一コマ。
ククとニタとハッシュとディレィッシュはこちらの世界のリゾート地であるハワイ島へ
やってきた。
我々が知るハワイ島とは似て非なるものであり、ただ名前が同じなだけのリゾート地である。
クグレック一行はちび龍ムーの口添えにより、ハワイ島でのんびりバカンスを過ごしていた。ここまでの道中、クグレック、ニタ、ハッシュ、ディレィッシュの4人は大変な目に遭ってきたのだ。一国の主を亡き者にするという大きな芝居を成し遂げ、霊山へ登ったら大きなドラゴンと戦い、洪水に流されつつも一命を取り留め、果ては白魔女と自称する謎の女に目を付けられたり色々あった。
ちょっとこの辺で一休みするのも良いだろう。
約束の地アルトフールまではまだまだ遠い。その上、どこにあるのか全く見当もついていない状態だ。
有名なリゾート地であるハワイ島で4人は十分に羽を伸ばすことにしていた、そんな一幕。ハワイ島に来てから1週間が経とうとしていた。
クグレックは、海辺の近くの土産屋にいた。特に土産を買うわけでもないが、一体何が売られているのかと気になって、土産屋までやってきたのだ。
土産屋には丁度ハッシュがいた。ハワイ島ではその温暖な気候が人々を開放的にさせるのか、観光客は水着姿の人が多い。無論ハッシュもボクサー型のオレンジと黄色の派手な水着で店内をうろついている。クグレックはビキニ型の水着には抵抗があったので、露出の少ないパレオ型の水着を着ていた。
クグレックは目の前のアクセサリーを眺めていた。色とりどりの綺麗な南国の花の髪飾りやネックレスやブレスレット、またこのハワイ島で作られる青いトンボ玉のアクセサリーなどが並べられている。
「クク、何欲しいの?」
「えっと、この青いガラス玉のネックレス・・・。」
「ふうん、綺麗だな。あ、これ可愛いな。」
そう言ってハッシュが手に取ったのは、シルバー細工で出来た小さなウミガメのチャームとピンク色の宝石がついた可愛らしいネックレスだった。
そしてハッシュはクグレックの後ろにまわり、ウミガメのネックレスを付ける。ちょっと可愛らしすぎるような気がするが、首元にハッシュのぬくもりを感じ、クグレックはドキドキした。
「青いガラス玉のネックレスも可愛いんだけどさ、クグレックはこっちみたいな女の子の色の方が似合うような気がするんだよね。ほら、見てみ。」
ハッシュと一緒に鏡を覗き込む。
胸元にはウミガメのシルバーと宝石のピンクの輝きがさりげなく煌めく。
ハッシュは次に青いガラス玉のネックレスもクグレックの胸元に合わせてみる。
きれいな碧だ。ベルベットのような黒髪と雪のように白い肌に映えて綺麗に見えるが、クグレックはウミガメのネックレスの方が自身を可愛く見せてくれているような気がした。碧のガラス玉は、クグレックがガラス玉を綺麗に見せているようだ。
「これ、買ってやろうか。」
「え、いいの?」
「安いし、良いよ。」
そう言って、ハッシュはガラス玉のネックレスとウミガメのネックレスを持って会計に向かった。
クグレックは頬を赤く染めて、鏡の中に取り残された自分を見つめた。
首元に感じたハッシュの温もりを思い出すと、一層顔が熱くなってくるのを感じた。胸もドキドキする。とても愛おしくて切なくて、泣きそうだ。今まで味わったことのない不思議な感覚。
ハッシュと一緒に土産屋を出るとハッシュは「はいよ」と言って、小さな紙袋を渡された。クグレックはその場で紙袋を開け、ネックレスを付けようとしたが、上手くできない。見かねたハッシュが再びネックレスをクグレックに付けてあげる。クグレックは顔が赤くなるのを感じた。
「よしよし。ん、クク、顔が赤いけど、大丈夫?」
「え、う、うん。だいじょぶ。」
「じゃ、俺、用事あるから、ここでな。」
じゃぁな、と手を振って立ち去るハッシュにクグレックはコクコクと頷くことしかできなかった。
ふと気づけばお礼の言葉の一言さえも言えていない。明日あった時、ちゃんと言おう、とクグレックは心に誓うのだった。
翌日、アルトフールに関する手がかりがある場所にムーが案内するというので、4人が皆集まった。
「ハッシュ、おはよう。あの、昨日、ネックレス買ってくれて、ありがとう。」
「おはよう。・・・あぁ、ネックレス。まぁ、うん、どういたしまして。」
クグレックは思い切ってお礼を述べた。ニタがどういうことかと首をかしげたが、そこに現地の女性フィンが現れて、みんなの意識は彼女へ向かった。彼女はムーの知り合いで、ホテルなどを手配してくれるなどたくさん手伝いをしてくれた女性だ。
これから行く場所にはムーの古くからの知り合いであるルルラカベラという獣人がいるらしい。結界を張るのが得意な生物らしいが、不幸があり強固な結界が自分にかかってしまい、今は動きを取れずにいるらしい。
フィンの力を借りれば、ルルラカベラと話が出来るので、今回はフィンが同行するとのことだ。
フィンという女性は実にセクシーだ。
クグレックとフィン、何が違うのか、と聞かれたら、フィンは巨乳である。そして可愛らしい顔である。また、大変女性らしく気が利く。胸もそんなに大きくないし、暗い表情ばかりして、気も利かないクグレックにはないものを彼女は持っている。
ルルラカベラのいるところまでは、そこそこ険しい道を通った。
鬱蒼とした林道を抜て海岸線へ出て、洞穴を通って1時間ほど歩いて行ったが、どこも足場が悪かった。林道は泥道でぐちゃぐちゃしていたし、海岸線は狭くてほぼ波にまみれて歩いた。洞穴もまた海水が入り込んでいるうえに足場がでこぼこしていたり、段差をよじ登ったりするような道で、進むのが大変だった。
その道中、ハッシュはずっとフィンをエスコートしていた。
先日霊山を登った時は、クグレックをハッシュがエスコートしていた。初めての不慣れな山登りで、苦しくなりながらも頂上まで登りきれたのは、ハッシュのおかげだった。
本来なら自分の場所だったのに、とクグレックはフィンを羨む。
ふと気が付けば、フィンの首元には昨日土産屋で見かけた青いガラス玉のネックレスが付いていた。クグレックよりも見事に付けこなしている。
そういえば、ハッシュはクグレックのウミガメのネックレスをレジまで持っていく際に、青いガラス玉のネックレスも持って行った。もしかすると、フィンが付けているネックレスはハッシュがプレゼントしたものなのだろうか?
昨日買ってもらった胸元のウミガメのネックレスに触れながら、クグレックは自分の力で前へ進んで行く。滑ったり転びそうになったりしたが、その都度ちび龍ムーがクグレックのことを、その翼と器用な足で捕まえてくれた。
あーぁ。
ハッシュのあんな優しそうな顔、初めて見たよ。目尻があんなに垂れ下がって、口元も緩んでる。フィンがその段差を飛び越えようとジャンプし、着地した瞬間にバランスを崩し、ハッシュに寄り掛かったりなんかするから、ハッシュは顔を赤くさせて受け止めているじゃないですか。
随分と幸せそうだこと。
と、クグレックは心の中で呟いた。
すると、クグレックの前を進むディレィッシュが、クグレックの様子に気付き、
「クク、顔がちょっと怖いよ?どうした?」
と尋ねてきたが、クグレックはつっけんどんに「なんでもない」と答えるばかりだった。
ククとニタとハッシュとディレィッシュはこちらの世界のリゾート地であるハワイ島へ
やってきた。
我々が知るハワイ島とは似て非なるものであり、ただ名前が同じなだけのリゾート地である。
クグレック一行はちび龍ムーの口添えにより、ハワイ島でのんびりバカンスを過ごしていた。ここまでの道中、クグレック、ニタ、ハッシュ、ディレィッシュの4人は大変な目に遭ってきたのだ。一国の主を亡き者にするという大きな芝居を成し遂げ、霊山へ登ったら大きなドラゴンと戦い、洪水に流されつつも一命を取り留め、果ては白魔女と自称する謎の女に目を付けられたり色々あった。
ちょっとこの辺で一休みするのも良いだろう。
約束の地アルトフールまではまだまだ遠い。その上、どこにあるのか全く見当もついていない状態だ。
有名なリゾート地であるハワイ島で4人は十分に羽を伸ばすことにしていた、そんな一幕。ハワイ島に来てから1週間が経とうとしていた。
クグレックは、海辺の近くの土産屋にいた。特に土産を買うわけでもないが、一体何が売られているのかと気になって、土産屋までやってきたのだ。
土産屋には丁度ハッシュがいた。ハワイ島ではその温暖な気候が人々を開放的にさせるのか、観光客は水着姿の人が多い。無論ハッシュもボクサー型のオレンジと黄色の派手な水着で店内をうろついている。クグレックはビキニ型の水着には抵抗があったので、露出の少ないパレオ型の水着を着ていた。
クグレックは目の前のアクセサリーを眺めていた。色とりどりの綺麗な南国の花の髪飾りやネックレスやブレスレット、またこのハワイ島で作られる青いトンボ玉のアクセサリーなどが並べられている。
「クク、何欲しいの?」
「えっと、この青いガラス玉のネックレス・・・。」
「ふうん、綺麗だな。あ、これ可愛いな。」
そう言ってハッシュが手に取ったのは、シルバー細工で出来た小さなウミガメのチャームとピンク色の宝石がついた可愛らしいネックレスだった。
そしてハッシュはクグレックの後ろにまわり、ウミガメのネックレスを付ける。ちょっと可愛らしすぎるような気がするが、首元にハッシュのぬくもりを感じ、クグレックはドキドキした。
「青いガラス玉のネックレスも可愛いんだけどさ、クグレックはこっちみたいな女の子の色の方が似合うような気がするんだよね。ほら、見てみ。」
ハッシュと一緒に鏡を覗き込む。
胸元にはウミガメのシルバーと宝石のピンクの輝きがさりげなく煌めく。
ハッシュは次に青いガラス玉のネックレスもクグレックの胸元に合わせてみる。
きれいな碧だ。ベルベットのような黒髪と雪のように白い肌に映えて綺麗に見えるが、クグレックはウミガメのネックレスの方が自身を可愛く見せてくれているような気がした。碧のガラス玉は、クグレックがガラス玉を綺麗に見せているようだ。
「これ、買ってやろうか。」
「え、いいの?」
「安いし、良いよ。」
そう言って、ハッシュはガラス玉のネックレスとウミガメのネックレスを持って会計に向かった。
クグレックは頬を赤く染めて、鏡の中に取り残された自分を見つめた。
首元に感じたハッシュの温もりを思い出すと、一層顔が熱くなってくるのを感じた。胸もドキドキする。とても愛おしくて切なくて、泣きそうだ。今まで味わったことのない不思議な感覚。
ハッシュと一緒に土産屋を出るとハッシュは「はいよ」と言って、小さな紙袋を渡された。クグレックはその場で紙袋を開け、ネックレスを付けようとしたが、上手くできない。見かねたハッシュが再びネックレスをクグレックに付けてあげる。クグレックは顔が赤くなるのを感じた。
「よしよし。ん、クク、顔が赤いけど、大丈夫?」
「え、う、うん。だいじょぶ。」
「じゃ、俺、用事あるから、ここでな。」
じゃぁな、と手を振って立ち去るハッシュにクグレックはコクコクと頷くことしかできなかった。
ふと気づけばお礼の言葉の一言さえも言えていない。明日あった時、ちゃんと言おう、とクグレックは心に誓うのだった。
翌日、アルトフールに関する手がかりがある場所にムーが案内するというので、4人が皆集まった。
「ハッシュ、おはよう。あの、昨日、ネックレス買ってくれて、ありがとう。」
「おはよう。・・・あぁ、ネックレス。まぁ、うん、どういたしまして。」
クグレックは思い切ってお礼を述べた。ニタがどういうことかと首をかしげたが、そこに現地の女性フィンが現れて、みんなの意識は彼女へ向かった。彼女はムーの知り合いで、ホテルなどを手配してくれるなどたくさん手伝いをしてくれた女性だ。
これから行く場所にはムーの古くからの知り合いであるルルラカベラという獣人がいるらしい。結界を張るのが得意な生物らしいが、不幸があり強固な結界が自分にかかってしまい、今は動きを取れずにいるらしい。
フィンの力を借りれば、ルルラカベラと話が出来るので、今回はフィンが同行するとのことだ。
フィンという女性は実にセクシーだ。
クグレックとフィン、何が違うのか、と聞かれたら、フィンは巨乳である。そして可愛らしい顔である。また、大変女性らしく気が利く。胸もそんなに大きくないし、暗い表情ばかりして、気も利かないクグレックにはないものを彼女は持っている。
ルルラカベラのいるところまでは、そこそこ険しい道を通った。
鬱蒼とした林道を抜て海岸線へ出て、洞穴を通って1時間ほど歩いて行ったが、どこも足場が悪かった。林道は泥道でぐちゃぐちゃしていたし、海岸線は狭くてほぼ波にまみれて歩いた。洞穴もまた海水が入り込んでいるうえに足場がでこぼこしていたり、段差をよじ登ったりするような道で、進むのが大変だった。
その道中、ハッシュはずっとフィンをエスコートしていた。
先日霊山を登った時は、クグレックをハッシュがエスコートしていた。初めての不慣れな山登りで、苦しくなりながらも頂上まで登りきれたのは、ハッシュのおかげだった。
本来なら自分の場所だったのに、とクグレックはフィンを羨む。
ふと気が付けば、フィンの首元には昨日土産屋で見かけた青いガラス玉のネックレスが付いていた。クグレックよりも見事に付けこなしている。
そういえば、ハッシュはクグレックのウミガメのネックレスをレジまで持っていく際に、青いガラス玉のネックレスも持って行った。もしかすると、フィンが付けているネックレスはハッシュがプレゼントしたものなのだろうか?
昨日買ってもらった胸元のウミガメのネックレスに触れながら、クグレックは自分の力で前へ進んで行く。滑ったり転びそうになったりしたが、その都度ちび龍ムーがクグレックのことを、その翼と器用な足で捕まえてくれた。
あーぁ。
ハッシュのあんな優しそうな顔、初めて見たよ。目尻があんなに垂れ下がって、口元も緩んでる。フィンがその段差を飛び越えようとジャンプし、着地した瞬間にバランスを崩し、ハッシュに寄り掛かったりなんかするから、ハッシュは顔を赤くさせて受け止めているじゃないですか。
随分と幸せそうだこと。
と、クグレックは心の中で呟いた。
すると、クグレックの前を進むディレィッシュが、クグレックの様子に気付き、
「クク、顔がちょっと怖いよ?どうした?」
と尋ねてきたが、クグレックはつっけんどんに「なんでもない」と答えるばかりだった。
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