「う、うえ、何?」
ニタは慌てて4D2コムを確認した。さらさらと表面を撫でると、4D2コムから声が聞こえて来た。
『ごきげんよう、ペポの戦士ニタと黒き魔女クグレック。』
ディレィッシュの声だ。
『我がプライベートラボにようこそ。どうしても私に会いたかったのだね。来ると思っていたよ。だが生憎私は爆発事件の対応とそれに対するランダムサンプリへの報復準備で大変忙しい。』
「報復準備って…」
『なお、これは事前に録音しておいたものだ。万一二人が私に会いたくて、プライベートラボまで来た時のために、吹き込み準備しておいた。』
「やっぱり、ニタ達がここに来ることはお見通しだったわけか。」
『エネルギー研究所は吹き飛んでしまったが、同時に進めていたエネルギー高炉の運用は上手く行っている。ここには対ランダムサンプリ用の報復装置が存在するのだが、最後の締めに二人の力を借りたいのだ。3日後、クライドが二人のことを迎えに来る。部屋に戻って、身支度をしてくれ。二人へのメッセージは以上だ。会うのを楽しみにしているぞ。』
ぷつっという切断音がすると、それ以降ディレィッシュの声が聞こえることはなかった。
「報復装置ねぇ…。クク、どうする?ディレィッシュに会いに行く?クライドが来るから、逃げられないような気がするけど。」
「うん。力を貸すつもりはないけど、ディレィッシュに会うことが出来れば、話が出来るよ。」
「ニタは罠の様な気がするんだけどな。嫌な予感しかしない。」
「それでも、行かなきゃ。」
「分かったよ。…ねえ、クク、部屋に戻ったらやってみたいことがあるんだけど、それだけ協力してくれない?」
「え、いいけど、何をやるの?」
「部屋に戻ったら教えるよ!」
二人は元来た道を戻り、再びエスカレベーターに乗って、部屋へと戻った。
そして、ニタはクグレックに“やってみたいこと”を筆談で伝え始めた。言葉にして話してしまうと、どこかで王が聞いているかもしれない。現に扉越しにマシアスと交わした会話は筒抜けであったし、ニタがやってみたいことがばれてしまうと、本当にどうすることも出来なくなる。
3日間の猶予があったので、二人は静かに、そして気付かれないように入念に策を練り、準備を行った。
それから約束の3日後になると、朝早くからクライドの来訪があり、二人は10日ぶりに部屋の外へ出ることが出来た。
「いやぁ、やっぱシャバの空気は違いますなぁ。」
クライドに連れられて城内を歩く二人。クライドは相変わらず無表情で寡黙である。常に右手が帯刀している剣の柄に触れているのは、クグレックとニタが万一逃げようとした際に太刀打ちするための準備だった。彼の剣捌きは音速の様に早く正確である。
と、その時ニタは手に持っていた4D2コムを誤って落としてしまった。
カンカンカンと大理石の廊下に大きな音を立てて転がる4D2コム。慌ててそれを追うニタにクライドは猛禽類の様な鋭い視線を向けたが、4D2コムを拾い大人しくニタが戻って来る様子を見ると、再び歩き始めた。
これがニタの“やってみたいこと”だった。
そのままクライドは城の駐車場へ向かい、二人をデンキジドウシャに乗せ、自らの運転でデンキジドウシャを走らせた。向かう先はおそらくエネルギー高炉だ。
ニタは慌てて4D2コムを確認した。さらさらと表面を撫でると、4D2コムから声が聞こえて来た。
『ごきげんよう、ペポの戦士ニタと黒き魔女クグレック。』
ディレィッシュの声だ。
『我がプライベートラボにようこそ。どうしても私に会いたかったのだね。来ると思っていたよ。だが生憎私は爆発事件の対応とそれに対するランダムサンプリへの報復準備で大変忙しい。』
「報復準備って…」
『なお、これは事前に録音しておいたものだ。万一二人が私に会いたくて、プライベートラボまで来た時のために、吹き込み準備しておいた。』
「やっぱり、ニタ達がここに来ることはお見通しだったわけか。」
『エネルギー研究所は吹き飛んでしまったが、同時に進めていたエネルギー高炉の運用は上手く行っている。ここには対ランダムサンプリ用の報復装置が存在するのだが、最後の締めに二人の力を借りたいのだ。3日後、クライドが二人のことを迎えに来る。部屋に戻って、身支度をしてくれ。二人へのメッセージは以上だ。会うのを楽しみにしているぞ。』
ぷつっという切断音がすると、それ以降ディレィッシュの声が聞こえることはなかった。
「報復装置ねぇ…。クク、どうする?ディレィッシュに会いに行く?クライドが来るから、逃げられないような気がするけど。」
「うん。力を貸すつもりはないけど、ディレィッシュに会うことが出来れば、話が出来るよ。」
「ニタは罠の様な気がするんだけどな。嫌な予感しかしない。」
「それでも、行かなきゃ。」
「分かったよ。…ねえ、クク、部屋に戻ったらやってみたいことがあるんだけど、それだけ協力してくれない?」
「え、いいけど、何をやるの?」
「部屋に戻ったら教えるよ!」
二人は元来た道を戻り、再びエスカレベーターに乗って、部屋へと戻った。
そして、ニタはクグレックに“やってみたいこと”を筆談で伝え始めた。言葉にして話してしまうと、どこかで王が聞いているかもしれない。現に扉越しにマシアスと交わした会話は筒抜けであったし、ニタがやってみたいことがばれてしまうと、本当にどうすることも出来なくなる。
3日間の猶予があったので、二人は静かに、そして気付かれないように入念に策を練り、準備を行った。
それから約束の3日後になると、朝早くからクライドの来訪があり、二人は10日ぶりに部屋の外へ出ることが出来た。
「いやぁ、やっぱシャバの空気は違いますなぁ。」
クライドに連れられて城内を歩く二人。クライドは相変わらず無表情で寡黙である。常に右手が帯刀している剣の柄に触れているのは、クグレックとニタが万一逃げようとした際に太刀打ちするための準備だった。彼の剣捌きは音速の様に早く正確である。
と、その時ニタは手に持っていた4D2コムを誤って落としてしまった。
カンカンカンと大理石の廊下に大きな音を立てて転がる4D2コム。慌ててそれを追うニタにクライドは猛禽類の様な鋭い視線を向けたが、4D2コムを拾い大人しくニタが戻って来る様子を見ると、再び歩き始めた。
これがニタの“やってみたいこと”だった。
そのままクライドは城の駐車場へ向かい、二人をデンキジドウシャに乗せ、自らの運転でデンキジドウシャを走らせた。向かう先はおそらくエネルギー高炉だ。
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