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肉球③






 

***********


 風呂に入り、歯磨き等も済まし、後は寝るだけとなったニタは、ククのベッドの上でごろごろしていた。
 思えば、今日はニタにとって本当にイヤな一日だった。洗濯されたは、ケーキを食べ損ねたは、本当に酷かった。
 でも、夕食は、ククのおいしいカレーだった。
 イヤな一日だったけど、イヤな中にそういうささいな幸せがあってくれれば、何も辛いことはない。
「あ、ニタ」
 風呂から上がったばかりで顔を火照らせたククが戻って来た。
「クーちゃんおかえり」
「ただいま」
「なんか今日は一緒に寝たいー…」
 ククはにっこりと微笑んで
「いいよ」
と言って、ベッドでごろごろしているニタの傍に座った。
 ニタはもそもそと這いつくばって、ククの膝に頭を乗せる。
「今日は大変な目にあったんだよ」
 ククに撫でられながらニタは甘えた声で話す。
「またアリスに洗濯されたんでしょ」
「え?何でわかるの?」
「ふふ。だって、今日のニタ、とってもふかふかなんだもん」
 ククはそう言って、ニタを抱き上げ膝の上に座らせると、後ろからぎゅっと抱きしめた。さらにそのふかふかな背中に、幸せそうに顔をうずめる。
 ニタも、ククに優しく愛撫され、気持ち良くなったのか満足気に目を細めた。
「わー、やっぱニタはクーちゃん好きだわー」
 幸せそうにぼやくニタ。
「私もニタ好きだよ」
 ニタの肉球をぷにぷにさせながら返すクク。
「…でも、クーちゃんが一番好きなのは、ハッシュでしょ?」
 小さく呟いたニタの言葉に、ククはドキッとした。
「だけど、ハッシュはフィンが好きだから…」
「ニタ、クーちゃんとずっとこーしていたいけど、クーちゃんが、ハッシュと恋人同士になったなら…、ハッシュにこの場所譲ってもいいや」
「…変な気使わないでよ…」
「いつかはそうなるでしょ?」
 ククは微かに微笑みながらニタの頭を撫でる。
「……そうなったら良いけど…、でも、ハッシュがフィンを好きなのなら、…私は…ハッシュの幸せだけを願うよ」
「………それ……誰かも…言ってた……」
「誰かって?」
 だが、ククの問い掛けの代わりに返って来たものは、安心しきった穏やかな寝息だった。
 ククはニタの寝顔を覗き込むと、ふふっとわらって自分のベッドに横たわらせた。
 そして、明かりを消すとククも一緒のベッドに入った。
「ニタ、疲れてたんだね。今日は、ゆっくりおやすみなさい」
と、ククは言って目を閉じ、ニタを抱きしめながら静かに眠りについた。

 そうして、安心のできる寝床で、ニタの一日は終わりを告げた。
 そして、また太陽の出現と同時にニタの一日は始まるだろう。
 多分明日も今日と大体同じなのかもしれない。
 おそらく洗濯はされないだろうけど、いつもの様にアルティメット達と愉快に過ごすだろう。
 変わらない一日。
 でも、幸運なことに、ニタは変化のないこの毎日が大好きだった。

 大好きな人達と一緒にいれる、この『毎日』が。

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 2014_01_11

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