私の好きな人は
私じゃない
別の人が好き。
私じゃない
別の人が好き。
「ね、ねぇ、ハッシュ、ケーキ作ったの。た、食べない?」
本日食事当番でありました、私、クグレック・シュタイン。
ハッシュというただあなたのためだけに最高のケーキを作ってあなたのの部屋にやってきました。あなた好みの味になるように、ニタとクルガの多大なる協力のもと、試行錯誤の末にようやくでき上がった至高の一品です。
そして、服も、この時のためだけにリクーから今流行りのロリータ調の服を薦められて借りてみました。
ど、どうかな?ハッシュ。気付いてくれるかな。
「ん?あぁ、クク、ありがとう」
ハッシュはケーキを受け取ると、きちんと「いただきます」を言って食べ始めた。
フォークで一口サイズに切って口に運ぶ。
さぁ、おあじはいかが?
「………(もぐもぐごっくん)………」
ど、どう?お味は?
「…あ、クー、お前ケーキ食った?人にばっかやって、自分の分忘れたろ」
「わ、わたしは……」
確かに私はケーキを食べてないけど、でも、それは別にどうでもいいことであって…。
「食ってないだろ?ほら、クー、隣座れよ」
座布団を引き寄せて、ハッシュは私の腕を掴んで無理矢理座らせる。
な、な、なんなの?
ハッシュはまたフォークでケーキを一口サイズに切ると、すぐに自分の口に入れようとしなかった。
……もしかして、まずかったのかなぁ。そうだったら、すっごく悲しい。ぐすん。
「クー、あーんして?」
「え?」
「あーんだよ。口開けて」
私は戸惑いながらも口を開ける。
すると、ハッシュは「はい、召し上がれー」と、言って、私にそのフォークのケーキを食べさせた。
そして、フォークを抜くと、ニコニコしながら私を見つめた。
私はぎこちなく口をもぐもぐさせる。
もぐもぐさせる。
ちらりとハッシュをみる。
顔が赤くなる。
もぐもぐさせる。
ごっくんする。
えっと、ちょっと…びっくりした…。
ハッシュはくすっと笑うと、また普通にケーキを食べ始め、語り始めた。
「俺、昔思ってたんだけど、料理人って、こうおいしいのを作って俺らを幸せにしてくれてるじゃん。
嬉しいからさ、ホントは料理人とこの味を分かち合いたいんだよね。でも、料理人はあくまでも料理人だから一緒の席には着いてくれないのな。仕方のないことだけど、ちょっと寂しくないか?幸せを与えてくれた人と同じ幸せを感じられないのが。…だから、クーに食わせて見たんだけど。お前にもこのおいしさを実感させてやりたいと思ったんだ」
そうしてハッシュは黙々とケーキを食べる。
遠回しな言い方だったけど、それって『おいしい』って意味なのかな。
─でも、料理人は、自分で自分のを食べたって、そんなに嬉しくはないの。
だって、そのために料理を作ってるんじゃないんだもの。
それならなんのためかって?
んじゃぁ、ハッシュに教えといてあげよう。
料理人が料理を作る理由。
「ハッシュ、料理人はね、食べてくれる人が『おいしい』って言って、満足してくれれば、それで充分なの。だって、料理人は、食べる人を喜ばせるために料理を作るんだから。食べれなくたって、食べる人の笑顔が見れれば何もいらないの。ハッシュみたいに思ってくれるのもうれしいことなんだけどね」
自分でそう言って、私はふとある言葉を思い出した。
──きみがしあわせなら、私はどうなったっていい。
ニュアンス的には料理人の気持ちと若干違うかもしれないけど。
あれ?でもこの言葉、誰が言ってたっけ。
私かな?ニタかな?ディレィッシュかな?クルガかな?それとも、あなたかな?
「クー…お前…。…いや、なんでもない」
ハッシュは意外そうに私を見つめながら残りのケーキを食べる。
そして、皿の上が空になると、ぽんぽんと私の頭を撫でて
「ごちそーさま。クー、今日のケーキ、いつもよりすげー『おいしかった』よ。ありがとな」
と笑みを浮かべながら言ってくれた。
「えへへ。もちろんだよ」
私は顔を緩ませながら返した。
あなたのためだけに作ったんだもん。『おいしい』に決まってるよ。
あー………。でも、嬉しいもんです。
好きな人がこうやって喜んでくれると、私も嬉しい。
さて、ケーキは褒めてもらったけど、お洋服のほうは褒めてもらってません。
せっかくリクーから借りたのに。ロリータの服。ふりふりのスカートとか、良いと思ったんだけどなぁ…。
まぁ、あまり強制するのもよくないのでここは、空になった皿を持って、おいとまします。
「それじゃぁハッシュ、私仕事があるから、いくね」
「あぁ。ごちそーさまでした」
そして、立ち上がってハッシュの部屋を出ようとすると
「あ、クー、その服…」
わ、やった、えへへ、かわいいでしょ?
「襲われないように気をつけろよ、兄貴、そういうの好きだから」
「あー…、うん…」
そーだった。このトリコ兄弟、兄はロリコンで、弟は年上好きだった。
ちょっと、この服は可愛すぎたかも。
兄は喜ばせても弟は無理だね。
今度はセクシーな路線で挑んでみます。
少しでもあなた好みの女になれるよう
「気をつけるね」
てなわけで、私はハッシュの部屋を出た。
本日食事当番でありました、私、クグレック・シュタイン。
ハッシュというただあなたのためだけに最高のケーキを作ってあなたのの部屋にやってきました。あなた好みの味になるように、ニタとクルガの多大なる協力のもと、試行錯誤の末にようやくでき上がった至高の一品です。
そして、服も、この時のためだけにリクーから今流行りのロリータ調の服を薦められて借りてみました。
ど、どうかな?ハッシュ。気付いてくれるかな。
「ん?あぁ、クク、ありがとう」
ハッシュはケーキを受け取ると、きちんと「いただきます」を言って食べ始めた。
フォークで一口サイズに切って口に運ぶ。
さぁ、おあじはいかが?
「………(もぐもぐごっくん)………」
ど、どう?お味は?
「…あ、クー、お前ケーキ食った?人にばっかやって、自分の分忘れたろ」
「わ、わたしは……」
確かに私はケーキを食べてないけど、でも、それは別にどうでもいいことであって…。
「食ってないだろ?ほら、クー、隣座れよ」
座布団を引き寄せて、ハッシュは私の腕を掴んで無理矢理座らせる。
な、な、なんなの?
ハッシュはまたフォークでケーキを一口サイズに切ると、すぐに自分の口に入れようとしなかった。
……もしかして、まずかったのかなぁ。そうだったら、すっごく悲しい。ぐすん。
「クー、あーんして?」
「え?」
「あーんだよ。口開けて」
私は戸惑いながらも口を開ける。
すると、ハッシュは「はい、召し上がれー」と、言って、私にそのフォークのケーキを食べさせた。
そして、フォークを抜くと、ニコニコしながら私を見つめた。
私はぎこちなく口をもぐもぐさせる。
もぐもぐさせる。
ちらりとハッシュをみる。
顔が赤くなる。
もぐもぐさせる。
ごっくんする。
えっと、ちょっと…びっくりした…。
ハッシュはくすっと笑うと、また普通にケーキを食べ始め、語り始めた。
「俺、昔思ってたんだけど、料理人って、こうおいしいのを作って俺らを幸せにしてくれてるじゃん。
嬉しいからさ、ホントは料理人とこの味を分かち合いたいんだよね。でも、料理人はあくまでも料理人だから一緒の席には着いてくれないのな。仕方のないことだけど、ちょっと寂しくないか?幸せを与えてくれた人と同じ幸せを感じられないのが。…だから、クーに食わせて見たんだけど。お前にもこのおいしさを実感させてやりたいと思ったんだ」
そうしてハッシュは黙々とケーキを食べる。
遠回しな言い方だったけど、それって『おいしい』って意味なのかな。
─でも、料理人は、自分で自分のを食べたって、そんなに嬉しくはないの。
だって、そのために料理を作ってるんじゃないんだもの。
それならなんのためかって?
んじゃぁ、ハッシュに教えといてあげよう。
料理人が料理を作る理由。
「ハッシュ、料理人はね、食べてくれる人が『おいしい』って言って、満足してくれれば、それで充分なの。だって、料理人は、食べる人を喜ばせるために料理を作るんだから。食べれなくたって、食べる人の笑顔が見れれば何もいらないの。ハッシュみたいに思ってくれるのもうれしいことなんだけどね」
自分でそう言って、私はふとある言葉を思い出した。
──きみがしあわせなら、私はどうなったっていい。
ニュアンス的には料理人の気持ちと若干違うかもしれないけど。
あれ?でもこの言葉、誰が言ってたっけ。
私かな?ニタかな?ディレィッシュかな?クルガかな?それとも、あなたかな?
「クー…お前…。…いや、なんでもない」
ハッシュは意外そうに私を見つめながら残りのケーキを食べる。
そして、皿の上が空になると、ぽんぽんと私の頭を撫でて
「ごちそーさま。クー、今日のケーキ、いつもよりすげー『おいしかった』よ。ありがとな」
と笑みを浮かべながら言ってくれた。
「えへへ。もちろんだよ」
私は顔を緩ませながら返した。
あなたのためだけに作ったんだもん。『おいしい』に決まってるよ。
あー………。でも、嬉しいもんです。
好きな人がこうやって喜んでくれると、私も嬉しい。
さて、ケーキは褒めてもらったけど、お洋服のほうは褒めてもらってません。
せっかくリクーから借りたのに。ロリータの服。ふりふりのスカートとか、良いと思ったんだけどなぁ…。
まぁ、あまり強制するのもよくないのでここは、空になった皿を持って、おいとまします。
「それじゃぁハッシュ、私仕事があるから、いくね」
「あぁ。ごちそーさまでした」
そして、立ち上がってハッシュの部屋を出ようとすると
「あ、クー、その服…」
わ、やった、えへへ、かわいいでしょ?
「襲われないように気をつけろよ、兄貴、そういうの好きだから」
「あー…、うん…」
そーだった。このトリコ兄弟、兄はロリコンで、弟は年上好きだった。
ちょっと、この服は可愛すぎたかも。
兄は喜ばせても弟は無理だね。
今度はセクシーな路線で挑んでみます。
少しでもあなた好みの女になれるよう
「気をつけるね」
てなわけで、私はハッシュの部屋を出た。
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