Answers②
Category: アルトフールの物語
ククの恋愛大作戦はターゲットに対してどう効果を発揮していたのか。
大団円を迎える前に、その成果を覗き見てみよう。
少しずつ、彼はククのことをかけがえのない大切な存在だと意識し始めているのか。
ククの恋愛大作戦はこちら!先にこちらを読んだ方が分かりやすいです。
③自分改革、君色に染まって誘惑大作戦
大団円を迎える前に、その成果を覗き見てみよう。
少しずつ、彼はククのことをかけがえのない大切な存在だと意識し始めているのか。
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③自分改革、君色に染まって誘惑大作戦
③
兄貴からラジタイトの買い付けを頼まれた。ラジタイトとは貴重な鉱石である。俺には科学のことは分からないが、このラジタイトがあることで、魔法と科学を融合することが出来るらしい。兄貴は科学と魔法を融合させた発明品を創り出したく、日夜研究に励んでいる。
ラジタイトは俺達の故郷であるトリコ王国にしか存在しない鉱石だ。トリコ王国まで行けば、現トリコ王からラジタイトを譲って貰えるが、アルトフールからトリコ王国までの距離は果てしなく遠い。往復するだけで数か月はかかるだろう。そう言うわけで、俺達は世界の全ての品物が集まることで有名なラカトブルグまで買い付けにやって来た。
そして、ククが魔導書が欲しいということを兄貴から聞きつけたので、今日はククと一緒に買い物にやって来た。
兄貴曰く、ククはラカトブルグの買い物ということで大変張り切るだろうから、可愛い恰好をして来たらきちんと褒めてあげるんだよ、と言って来た。何を言ってるのか良く分からん。
ラジタイトの買い付けの方が時間かかるだろうと思い、先に鉱石屋を訪れたが、あの鉱石屋は判別をするのに微妙なラインの鉱石ばかり出しやがって、交渉に時間がかかった。あまりにも時間がかかってしまったので、一人ほったらかしにされていたククは「近くのお店を見て回ってるね」という書置きを残していなくなっていた。
正直、ラカトブルグを一人で歩かせるのは気が進まなかった。このラカトブルグには色んな人が集まる。良い奴もいれば、悪い奴もいる。買い物客の荷物を狙う輩もいるくらいだ。しかも今日のククときたら、随分めかしこんで、露出度の高い服を着ている。よからぬことを考える輩につかまってなければ良いんだけど。とはいえ、ここまで買い付けに時間をかけてしまった俺にも責任はある。
と思いながら店を出ると、案の定ククは良からぬ輩に捕まっている。
しかも、あいつら、ククの体を触っている。
ククが大人しくて抵抗しないからって、調子に乗っているようだ。許せない。
ククに手を出そうとしてる輩は二人。デブとガリの男。
ガリの男がククの体を触っていて、デブがそれを喜んで見ている。
まずはデブから片付けよう。
気配を消してデブに近付く。「ちょっと」と声をかけると、デブは全く警戒する様子もなく振り返ったので、デブの手首を掴んでひっくり返し、地面に打ち付けた。デブは仰向けになって、状況に呆然としている。
次はガリ。鼻ピアスがなんとも下品な奴だが、ククの肩を抱いて自分の身に寄せている。なんかすごくイライラする。
「お、お前、何なんだよ!」
鼻ピアスのガリが喚く。
「こいつの連れだけど。お前こそ何なんだ?」
「だから何なんだよ。さ、ねぇちゃん、行こうぜ。おい、お前も寝てないで起きろや。」
鼻ピアスは仰向けになってのびているデブに蹴りを入れ、ククを連れて行こうとする。
仕方ない。良からぬ輩とは言え普通の人だから、あまり危害は加えてはばいけない。鼻ピアスの腕を掴んで、ちょっと痛くしてやろう。
「いてててて!」
鼻ピアスは悲鳴をあげる。そんな一瞬の隙をついて、ククは鼻ピアスから逃れて、俺の傍に駆け寄って来た。
ククを手放すまいと、左手で傍に抱き抱える。
「ふ、ふざけんなよ!」
鼻ピアスは、性懲りもなく襲い掛かって来ようとする。
俺はさらに鼻ピアスの腕を掴む力を強くした。鼻ピアスは顔を真っ赤にして「いてててて!」と悲鳴をあげる。
「いい加減にしないと、折るけど。いいの?」
骨が折れる寸前まで力を込めて鼻ピアスの腕を握る。鼻ピアスの顔は苦痛に歪む。
「ち、ちくしょー、離せ!」
鼻ピアスがそう言うので、手を離すと、鼻ピアスは傍で倒れていたデブを引っ張って一目散に逃げて行った。
全く他愛もない。しょぼい奴らだった。
だが、ククを一人にさせたのは俺の買い物が遅くなってしまったことにも原因はある。
「遅くなって、悪かったな。」
と、声をかけると、俺にぴったりとくっついていたククは顔を上げて見つめてくる。またこの上目遣い。目が離せなくなるのは、今日に限っておしゃれをして着飾っているせいだろうか。
ククは俺から離れると髪を直しながら、「ううん、ハッシュ、あの、ありがとう。」と言った。
「変なこと、されなかったか?」と聞くと、ククは「ちょっと触られたけど、大丈夫。」と答えた。
また、上目遣いをやられたが、ここは目をそらしてしまった。あのデブと鼻ピアスがククにさわったことが許せなくて怒りの表情が思わず顔に出てしまいそうだった。
そもそも、そういう露出の多い服を着るから変な輩に目を付けられるわけで…。
またククと目が合ったが、なんだか気恥ずかしくて、すぐに目を逸らした。
「ククの今日のその恰好は男を刺激させるみたいだから、気を付けろ。そんな恰好をしてきたククもちょっと悪い。」
やばい、ちょっときつく言い過ぎたかもしれない。ククはきっと怖かっただろうに。
案の定か細い声で「…ごめんね。」というククの声が聞こえた。
「え、あ、謝ることじゃないよ。そんなつもりじゃないんだ。ククが無事で良かったし。」
なにかフォローを言わねば。
「うん。その恰好もいつもと違って可愛いよ。」
と言ってククを見ると、ほんのり頬を染めて安心したような表情でいた。
ふと、ククが身に付けているネックレスに目が行く。シルバーのウミガメのチャームとピンクのガラス玉がついたネックレスだ。これは確かはじまりの旅でククに買ってあげたネックレス。田舎から出て来た女の子に、ちょっとしたアクセサリーでもつけて喜んでもらおうと思って買ってあげたやつだ。
「良く失くさずに持っていたな。やっぱりククに似合ってる。」
こうやってプレゼントしたものを付けて貰えること、そして、あの旅の間中、なくすことなくずっと持ってくれていたことも嬉しかった。まじまじ眺めてしまったが、ふと、肩出しのニットワンピの広く開いた胸元から見えるククの胸の谷間に目が行った。意外と豊かな胸をお持ちで。って、ククから見れば、俺はそこをまじまじと眺めているように捉えられていたかもしれないと思うと、急に恥ずかしくなってきた。俺もあいつらと同じレベルじゃないか。
「ごめん。」
謝ってどうするのか、自分でも良く分からなかった。とにかくこの変な空気をかえたくて、ククが希望する魔導書が売っている書店へ向かうことにしよう。
「さ、本屋へ行こうぜ。」
「うん。」
書店は確か隣のビルに入っていたっけ。まずはエレベーターで地階に降りねば。
いつも通り、ククは俺の後ろを着いて来るが、それはまずい。もしかすると、あの二人がつけて来て、ククを攫ってしまうかもしれない。足を止めて、振り向く。
「あ、クク、ごめん。またあいつらが来て拉致られたらまずい。手、繋いで行こう。」
そう言って、ククに手を差し出すと、ククはおずおずと俺の手を取った。
いつものごとく、ククを引っ張って歩いていくわけだが、今日はククは俺の後ろではなく、隣に来た。
隣のククを見ると、落ち着いていて穏やかな表情でいる。
そうだ。クク。お前は謙虚すぎるんだ。何を引け目に感じているのか知らないが、これでいい。俺達は対等なんだ。俺達の間には何もないはずなんだから、こうやって一緒に歩いたって悪くないんだ。
目が合えば、にっこりと微笑んでくる。謎のぎこちなさはあるけど、ククは笑顔が似合う。この笑顔を守り続けることが出来たならば…。
「ククさぁ…」
「何?」
笑った顔の方が可愛いよな。
なんてことを言おうとしたが、ふと我に返り、その台詞を言うのが急に恥ずかしくなってしまった。兄貴じゃあるまいし、そんな歯の浮いたセリフは言うことが出来ない。
あまりにも唐突に恥ずかしさを感じてしまい、何を言えばいいのか分からなくなってしまった。
お互いに無言のままエレベーターに乗り込む。
気まずいな。
繋いだ手から、お互いの思考が読み取られてしまっていたら、さらに気まずいことになっていただろう。
それに今はエレベーターの中だから別に手を繋いでいなくてもいいんだ。
あぁ、一体何を話せばいいのだろうか。
兄貴だったら、きっと上手いこと言えるんだろうな。例えば、今日のククの恰好も自然に褒めてやることが出来るんだろう。
今日のククの恰好はいつもと雰囲気が違う。露出度高めだけど、どこか大人っぽさがある。メイクの仕方なのだろうか。
ラカトブルグでの買い物だから、気合を入れてお洒落をしたと言っていた。
似合わないわけじゃないけど、俺は、いつものククの方が好きだな。
でも、ククは頑張ってお洒落をしたのだ。兄貴が、そんなククのことを褒めてあげれば凄く喜ぶと言っていたから、このビルを出たら誉めてやろうか。
ビルを出て、久々に青い空の下に出る。
「クク、その恰好、いつもと違って凄く良いと思う。でも、俺はククはいつもの恰好の方が好きだな。そっちのククが俺にとってのククだし。」
すると、ククの歩みが急に遅くなり、結局、いつものようにククを引っ張って行くような形に収まった。
まぁ、今はそれでいい。
俺も、普段言わないような台詞を言ってしまったことで、なんだか顔が熱い。
兄貴からラジタイトの買い付けを頼まれた。ラジタイトとは貴重な鉱石である。俺には科学のことは分からないが、このラジタイトがあることで、魔法と科学を融合することが出来るらしい。兄貴は科学と魔法を融合させた発明品を創り出したく、日夜研究に励んでいる。
ラジタイトは俺達の故郷であるトリコ王国にしか存在しない鉱石だ。トリコ王国まで行けば、現トリコ王からラジタイトを譲って貰えるが、アルトフールからトリコ王国までの距離は果てしなく遠い。往復するだけで数か月はかかるだろう。そう言うわけで、俺達は世界の全ての品物が集まることで有名なラカトブルグまで買い付けにやって来た。
そして、ククが魔導書が欲しいということを兄貴から聞きつけたので、今日はククと一緒に買い物にやって来た。
兄貴曰く、ククはラカトブルグの買い物ということで大変張り切るだろうから、可愛い恰好をして来たらきちんと褒めてあげるんだよ、と言って来た。何を言ってるのか良く分からん。
ラジタイトの買い付けの方が時間かかるだろうと思い、先に鉱石屋を訪れたが、あの鉱石屋は判別をするのに微妙なラインの鉱石ばかり出しやがって、交渉に時間がかかった。あまりにも時間がかかってしまったので、一人ほったらかしにされていたククは「近くのお店を見て回ってるね」という書置きを残していなくなっていた。
正直、ラカトブルグを一人で歩かせるのは気が進まなかった。このラカトブルグには色んな人が集まる。良い奴もいれば、悪い奴もいる。買い物客の荷物を狙う輩もいるくらいだ。しかも今日のククときたら、随分めかしこんで、露出度の高い服を着ている。よからぬことを考える輩につかまってなければ良いんだけど。とはいえ、ここまで買い付けに時間をかけてしまった俺にも責任はある。
と思いながら店を出ると、案の定ククは良からぬ輩に捕まっている。
しかも、あいつら、ククの体を触っている。
ククが大人しくて抵抗しないからって、調子に乗っているようだ。許せない。
ククに手を出そうとしてる輩は二人。デブとガリの男。
ガリの男がククの体を触っていて、デブがそれを喜んで見ている。
まずはデブから片付けよう。
気配を消してデブに近付く。「ちょっと」と声をかけると、デブは全く警戒する様子もなく振り返ったので、デブの手首を掴んでひっくり返し、地面に打ち付けた。デブは仰向けになって、状況に呆然としている。
次はガリ。鼻ピアスがなんとも下品な奴だが、ククの肩を抱いて自分の身に寄せている。なんかすごくイライラする。
「お、お前、何なんだよ!」
鼻ピアスのガリが喚く。
「こいつの連れだけど。お前こそ何なんだ?」
「だから何なんだよ。さ、ねぇちゃん、行こうぜ。おい、お前も寝てないで起きろや。」
鼻ピアスは仰向けになってのびているデブに蹴りを入れ、ククを連れて行こうとする。
仕方ない。良からぬ輩とは言え普通の人だから、あまり危害は加えてはばいけない。鼻ピアスの腕を掴んで、ちょっと痛くしてやろう。
「いてててて!」
鼻ピアスは悲鳴をあげる。そんな一瞬の隙をついて、ククは鼻ピアスから逃れて、俺の傍に駆け寄って来た。
ククを手放すまいと、左手で傍に抱き抱える。
「ふ、ふざけんなよ!」
鼻ピアスは、性懲りもなく襲い掛かって来ようとする。
俺はさらに鼻ピアスの腕を掴む力を強くした。鼻ピアスは顔を真っ赤にして「いてててて!」と悲鳴をあげる。
「いい加減にしないと、折るけど。いいの?」
骨が折れる寸前まで力を込めて鼻ピアスの腕を握る。鼻ピアスの顔は苦痛に歪む。
「ち、ちくしょー、離せ!」
鼻ピアスがそう言うので、手を離すと、鼻ピアスは傍で倒れていたデブを引っ張って一目散に逃げて行った。
全く他愛もない。しょぼい奴らだった。
だが、ククを一人にさせたのは俺の買い物が遅くなってしまったことにも原因はある。
「遅くなって、悪かったな。」
と、声をかけると、俺にぴったりとくっついていたククは顔を上げて見つめてくる。またこの上目遣い。目が離せなくなるのは、今日に限っておしゃれをして着飾っているせいだろうか。
ククは俺から離れると髪を直しながら、「ううん、ハッシュ、あの、ありがとう。」と言った。
「変なこと、されなかったか?」と聞くと、ククは「ちょっと触られたけど、大丈夫。」と答えた。
また、上目遣いをやられたが、ここは目をそらしてしまった。あのデブと鼻ピアスがククにさわったことが許せなくて怒りの表情が思わず顔に出てしまいそうだった。
そもそも、そういう露出の多い服を着るから変な輩に目を付けられるわけで…。
またククと目が合ったが、なんだか気恥ずかしくて、すぐに目を逸らした。
「ククの今日のその恰好は男を刺激させるみたいだから、気を付けろ。そんな恰好をしてきたククもちょっと悪い。」
やばい、ちょっときつく言い過ぎたかもしれない。ククはきっと怖かっただろうに。
案の定か細い声で「…ごめんね。」というククの声が聞こえた。
「え、あ、謝ることじゃないよ。そんなつもりじゃないんだ。ククが無事で良かったし。」
なにかフォローを言わねば。
「うん。その恰好もいつもと違って可愛いよ。」
と言ってククを見ると、ほんのり頬を染めて安心したような表情でいた。
ふと、ククが身に付けているネックレスに目が行く。シルバーのウミガメのチャームとピンクのガラス玉がついたネックレスだ。これは確かはじまりの旅でククに買ってあげたネックレス。田舎から出て来た女の子に、ちょっとしたアクセサリーでもつけて喜んでもらおうと思って買ってあげたやつだ。
「良く失くさずに持っていたな。やっぱりククに似合ってる。」
こうやってプレゼントしたものを付けて貰えること、そして、あの旅の間中、なくすことなくずっと持ってくれていたことも嬉しかった。まじまじ眺めてしまったが、ふと、肩出しのニットワンピの広く開いた胸元から見えるククの胸の谷間に目が行った。意外と豊かな胸をお持ちで。って、ククから見れば、俺はそこをまじまじと眺めているように捉えられていたかもしれないと思うと、急に恥ずかしくなってきた。俺もあいつらと同じレベルじゃないか。
「ごめん。」
謝ってどうするのか、自分でも良く分からなかった。とにかくこの変な空気をかえたくて、ククが希望する魔導書が売っている書店へ向かうことにしよう。
「さ、本屋へ行こうぜ。」
「うん。」
書店は確か隣のビルに入っていたっけ。まずはエレベーターで地階に降りねば。
いつも通り、ククは俺の後ろを着いて来るが、それはまずい。もしかすると、あの二人がつけて来て、ククを攫ってしまうかもしれない。足を止めて、振り向く。
「あ、クク、ごめん。またあいつらが来て拉致られたらまずい。手、繋いで行こう。」
そう言って、ククに手を差し出すと、ククはおずおずと俺の手を取った。
いつものごとく、ククを引っ張って歩いていくわけだが、今日はククは俺の後ろではなく、隣に来た。
隣のククを見ると、落ち着いていて穏やかな表情でいる。
そうだ。クク。お前は謙虚すぎるんだ。何を引け目に感じているのか知らないが、これでいい。俺達は対等なんだ。俺達の間には何もないはずなんだから、こうやって一緒に歩いたって悪くないんだ。
目が合えば、にっこりと微笑んでくる。謎のぎこちなさはあるけど、ククは笑顔が似合う。この笑顔を守り続けることが出来たならば…。
「ククさぁ…」
「何?」
笑った顔の方が可愛いよな。
なんてことを言おうとしたが、ふと我に返り、その台詞を言うのが急に恥ずかしくなってしまった。兄貴じゃあるまいし、そんな歯の浮いたセリフは言うことが出来ない。
あまりにも唐突に恥ずかしさを感じてしまい、何を言えばいいのか分からなくなってしまった。
お互いに無言のままエレベーターに乗り込む。
気まずいな。
繋いだ手から、お互いの思考が読み取られてしまっていたら、さらに気まずいことになっていただろう。
それに今はエレベーターの中だから別に手を繋いでいなくてもいいんだ。
あぁ、一体何を話せばいいのだろうか。
兄貴だったら、きっと上手いこと言えるんだろうな。例えば、今日のククの恰好も自然に褒めてやることが出来るんだろう。
今日のククの恰好はいつもと雰囲気が違う。露出度高めだけど、どこか大人っぽさがある。メイクの仕方なのだろうか。
ラカトブルグでの買い物だから、気合を入れてお洒落をしたと言っていた。
似合わないわけじゃないけど、俺は、いつものククの方が好きだな。
でも、ククは頑張ってお洒落をしたのだ。兄貴が、そんなククのことを褒めてあげれば凄く喜ぶと言っていたから、このビルを出たら誉めてやろうか。
ビルを出て、久々に青い空の下に出る。
「クク、その恰好、いつもと違って凄く良いと思う。でも、俺はククはいつもの恰好の方が好きだな。そっちのククが俺にとってのククだし。」
すると、ククの歩みが急に遅くなり、結局、いつものようにククを引っ張って行くような形に収まった。
まぁ、今はそれでいい。
俺も、普段言わないような台詞を言ってしまったことで、なんだか顔が熱い。
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