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ニタとメイトーの森⑥


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 翌日もまたニタとクグレックは森の中を彷徨った。
 昨日と同じ距離を歩いたはずだが、結局、二人は森の外に出ることが出来なかった。ニタは一向に森の出口に向かっている感覚が掴めなくなっていたので、とうとう午後過ぎくらいから、脱出を諦めることにした。もしかするとメイトーに何かが起こってしまって、出れなくなったのかもしれないと考え、一旦メイトーの祠に戻り、メイトーの様子を確認しに行くという方向に計画を変更することにしたのだ。
 しかし、その前に二人は粗末な物しか口にしていなかったので、まずは腹を満たすことを優先させることにした。ニタは森を駆け巡り、食料到達へ。クグレックは別荘付近で、木を集めたり水を汲みに行ったりしていた。
 夕方頃にはニタはウサギを三羽とイノシシを1頭持ち帰って来た。クグレックは屠殺の様子を見たことがなかったので、ニタが手慣れた様子でイノシシやウサギを解体していく様子を見て、吐き気を催しそうになったし、泣きたい気持ちになった。だが、生きるためならば仕方がないと思い、我慢した。
 クグレックが魔法で火をつけ、肉を焼いて食べたが、調味料がないため味がついていなかった。ニタは美味しそうにむしゃむしゃ食べていたが、クグレックの口にはどうしても合わなかった。味がないだけでなく、動物独特の臭みもあったので、あまり食べられなかった。
「クク、ちゃんと食べないと、歩けないよ。」
「う、うん。でも、なんかそんなにお腹空いてなくて…。」
「そう?じゃぁ、ニタが全部食べちゃうからね。」
「うん。いいよ。」
 ククは木の実をポリポリとつまんで食べた。これもまた味気ないものだったが、ワイルドな動物の肉よりはましだった。
 そして、再び別荘にて夜を過ごす。
 ニタは、お腹が満たされて、幸せそうな表情に包まれている。壁にもたれかかって座っているが、今にも眠ってしまいそうに、うとうとしていた。
「クク…、」
 ニタが譫言のように呟いた。ニタはもう8割ほど眠りの世界へ旅立っていた。
「ククはニタの、友達だからね…。」
 そう言い残すと、ニタは横に崩れて完全に眠りに落ちた。
 クグレックは、しばらくニタを見つめていた。冷静に見つめているようだったが、内心はニタの「友達」という言葉にびっくりしていた。なぜならクグレックには友達は一人もいなかったから。本の中でしか知らなかった『友達』が今クグレックの目の前にいるらしい。クグレックは凄く照れ臭い気持ちに襲われたが、それ以上に嬉しかった。ニタにそっと毛皮をかけてあげると、蝋燭の火を消して、クグレックも眠りについた。明日こそは森の外に出られることを祈って。

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 2015_06_02

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