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ニタと幻の不死鳥⑪



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 ――傷付くことを恐れるな。前に進みなさい。最終局面であなたは正義のために、仲間のために、その力を揮わなければならないのだから。あなたは何をすべきなのか。何をしたいのか。動きなさい。

 薄暗い洞窟の中で目を覚ましたクグレックは、洞窟の入り口でぼんやりと佇む白い人影に気が付いた。
 杖を突きながら、ふらふらとした足取りで洞窟の入り口へ向かうクグレック。
 そこには、無表情でクグレックを見つめる黒髪おかっぱ頭の白い袴を着た少女がいた。
 クグレックは彼女をどこかで見たことがあるような気がしたが、思い出せない。
「守れなければ、ニタがもう戻って来れなくなる。お姉ちゃん、どうする?」
 女の子がクグレックに問うてきた。クグレックは咄嗟に「ニタは私が守る。」と言ったが、女の子の問いの意味も分からなかったうえ、クグレック自身にどうしてこのような答えが出て来たのかは分からなかった。
「じゃぁ、これをあげる。」
 女の子は瑠璃色の小さな金平糖をクグレックに差し出してきた。クグレックは手のひらを出して、それを受け取った。
 宝石のように輝く瑠璃色の金平糖。まるでニタの瞳のような色をしている。
 クグレックは金平糖を口に含みガリと噛んだ。何の変哲もない甘い砂糖の味がクグレックの口の中に広がる。
 女の子は光り輝き始めると、細かい粒子となって消えて行った。
 
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 2015_09_20

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